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遅い朝食を食べ終え、大きなソファーにもたれて食後のカフェオレを飲むキャロル。
膝の上で丸くなった猫を撫でながら、ぼんやりと朝の気だるい空気を満喫していた。
猫の首元には小さな鈴のついた赤い首輪があり、動く度にチリンと音を奏でる。
その涼やかな鈴の音を聞きながら、一定方向に手を動かして艶やかな毛並みを撫でていると、そこからかすかにラベンダー水の香りがした。
昨日キャットを風呂に入れていたこの屋敷の主人は、どうしたのだろう?
屋敷の主人すなわちキャロルの祖母は、昨日二人で昼食を食べた後出掛けて行き、未だ戻っていなかった。
『15歳のお誕生日おめでとう』
そうお祝いの言葉を告げて。
しかし、日付のフライングを指摘する間もなく、彼女は行き先も言わず出かけてしまった。
「お祖母ちゃんどこへ行ったのかな。
君なら知ってる、キャット?」
猫はチラリとこちらに向き、スッと目を細めた。
何だか一言言いたそうな目している。
猫のくせに。
キャロルはクスリと小さく笑った。
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