590人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼんやりと彼女のことを思い返しているうちに、いつの間にか撫でる手が止まったいたらしい。
気を削がれてしまったのか、猫は膝から床に飛び下り、しなやかな体を思い切りのばした。
キャットはここへきてからの唯一の友達だ。
知り合いもおらず、近くに子供のいる家もないため、キャロルはほとんどをこの屋敷の中で過ごしていた。
祖母の占いの腕はいいらしく、家を訪れるお客は後を絶たない。遠方からの人も多く、1日に何人も来ることがあったが、しかし彼女には大人すぎた。
この一風変わった猫に話しかけることで、キャロルは寂しさを紛らわしているのだ。
ただ、キャットが毎朝続けるあの奇妙な行動には辟易させられる。
祖母に言わせれば、特別な証拠だとか何とか‥
気持ちは嬉しいが、正直やめて欲しい。
最初のコメントを投稿しよう!