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「…なるほど。確かに僕の名前っぽくなるね。」
「そしてアリバイですが、あなたは昨日の夜、10時半から11時半までの間、ずっと操舵室で舵を握ってましたね?」
「うん。」
「それを証明できる人は?」
「いないよ。ここには僕と船長、伊良部さんしか入れないもん。その2人は10時頃からミーティングって聞いてたし。」
「なるほど…という事は稲元さんは、10時から11時の間、2人が戻って来ない事を知ってたんですね?」
「うん、まぁね。」
「そこであなたは船を倍のスピードで移動させた。つまり30分で1時間分、移動させた訳です。これで稲元さんには30分の空白時間ができます。稲元さんのアリバイは崩れました!」
自信満々のRに反論したのは、稲元ではなく船長だった。
「でもR、君も今感じてるだろうが、そんなにスピードを上げると船が揺れて立っていられないぞ。その時いくら今より天気が良かったとは言え、倍のスピードでは…」
「じゃあ倍より遅いけど予定より早く移動してたんです。とにかく稲元さんにはアリバイがありません。」
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