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「R、最近の船にはな、小さな漁船から大型クルーザーまで、大抵GPSが付いてる。もちろんイシュマエル号にもな。私が稲元と操舵員を交代した時、確かにイシュマエル号は予定通りの航路を予定通りのスピードで移動していた。」
船長は航行履歴をプリントアウトしてRに手渡した。
そこには確かにスピードを上げたり停泊させた事実が無かった。また自動運航にした形跡も無く、稲元が操舵室から出たとは考えられなかった。
稲元は更にRに聞いた。
「さっきのダイイングメッセージの話さぁ、[いな]と入るのが僕だけなのは解ったけど、なぜ有倫様は、そんな紛らわしい書き方をしたの?」
Rは答えられなかった。
稲元は続ける。
「じゃあ結局、壁に115って書いてただけで僕を犯人扱いしてたんだね?R、名探偵コ〇ンの読みすぎじゃないの?」
稲元の一言にカリーナと船長は笑った。
中川とスミスはRの暴走にため息をつき、総太郎は湯沢と部屋を出て行った。
Rは、なんの手柄もあげられなかった。
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