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「ほら、秀平!!こっちこっち!!」
「ぬぁっ!?これに並ぶのか!?」
恭子の指差した先には、賽銭箱に並ぶ人たちが群をなして長蛇の列を作っていた。
「いいから黙って並べ!!」
恭子は半ば強引に列の最後尾に押し付けた。
まぁたまにはいいか…。
数分待つと、自分達の番がまわってきた。以外と早かった。
恭子は二礼二拍手をすると、静かに目をつぶった。
それを見た俺も、真似て目をつぶった。
「サッカーで優勝出来ますように…。」
「あんた…声に出さなくてもいいんだぞ。」
半分笑みを浮かべた恭子が静に振り向いた。
「うるせぇなぁ。出ちまったもんはしょうがないだろ。お前は何願ったんだよ。」
「ひみつっ!!」
「俺の聞いたんだろー。言えよ。」
「言ったら叶わない気がするから…。」
「じゃあ言っちゃった俺の夢は叶わないっつーのか?」
「おバカさんねぇ。あんたはあんた!!私は私なのっ!!」
周りから見ればそれは仲良く言い合っているように思えただろう。でも俺は夢をバカにされたような気がして、気分が悪かった。
「さっ!!初詣も済んだし、帰ろっ!!」
俺の気持ちを知ってか知らずか、恭子は俺を促した。
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