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「そういえば尚美は?まだ来てないの?」
右手を離して手で影を作りながら目を凝らして辺りを見回した。その後ろからまた一人少女がやってきた。有紗と目が合うと少女は「静かに」とジェスチャーをしてそっと明日香に近づいて、後ろから手で目隠しをした。
「だ~れだ?」
少し甲高い声で少女は質問した。
「尚美~?」
明日香はそう言いながら目隠ししていた手を持ち上げて振り返った。
「もうちょっと面白い答えないの~?」
そう笑いながら尚美はクラス分けの掲示を見た。
「あ~あ、私だけクラス違うよ~」
深いため息をして、有紗の方を見た。
「でもよかったね。明日香がいればいやな奴なんかみんなやっつけてくれるもんね?」
親指を立てて有紗に言った。有紗は特に笑わず、かといって言い返す様子も見せず小さく頷いた。
「言ったな~!」
明日香は尚美を鞄で軽くたたくと尚美は笑いながら玄関に走っていった。
「そういえば有紗。担任の『川島』ってどんなのだっけ?今年来た先生だよね?」
有紗は頭の中で顔を思い浮かべたが、出てこなかった。
「うん…」
「何考えてるんだろうね?普通3年は新任の先生入れないよね」
「うん…」
「まいっか。とりあえず教室行こ」
有紗の左手を掴むとげた箱まで引きずるように連れて行った。
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