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その時、有紗達に向けてフラッシュが光った。慎吾が使い捨てカメラを持って教室中を撮っていた。
「なにしてるの?」
「だってこの雰囲気良いじゃねえか。だから撮りまくっとく」
慎吾は笑いながら言うと、そのまま明日香にカメラを向けて写真を撮った。
「勝手に撮るな~!」
「ヒヒ…もう一回」
また慎吾は写真を撮った。
「…明日香…最後なんだから…」
有紗が言うと、明日香も仕方ないようにため息を吐いた。
「有紗~明日香~」
尚美がカメラを持って教室に入ってきた。
「写真撮ろ~」
そう言いながらカメラを慎吾に渡すと2人の間に入った。
「ほら慎吾。撮って~」
「ヘイヘイ」
慎吾も仕方なく写真を撮った。そして、そのまま自分のカメラで撮った。
「なんで自分用に撮るの?」
「あ?美術部の3人娘がそろった記念」
そう言いながら尚美にカメラを返すと、他の生徒の方に歩いていった。
「3人娘だってさ~。じゃあ明日香が長女だね。で、私が次女で有紗が三女」
「なんでそういうのすぐ考えるかな~」
尚美が楽しそうに言うのを、明日香は呆れながら言った。
「…やっぱり1番下なんだ」
有紗も小さく言った。
「有紗?あ、いたいた」
教室の入口から前島が顔を覗かせて、有紗の方にやって来た。
「せっかく描いた絵なんだから大事にしなさいよ?」
そう言いながら有紗に丸めた画用紙を渡した。そっと広げてみると、学園祭の時に描いた屋上からの風景画だった。
「じゃあね。偶には顔出しなさいよ?」
そう言って前島は教室から出ていった。
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