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しばらくすると、生徒は殆ど帰っていた。
「有紗、私達も帰ろ?」
「…うん」
有紗は鞄に卒業証書と絵を大事に入れると、明日香と一緒に教室を出た。
教室からげた箱までの短い道のりを思い出に残すためにゆっくり歩いた。有紗の横では明日香がハンカチで涙を拭っていた。
「…今までありがとう」
有紗は左手で明日香の右手を握りながら言った。
「有紗…こっちこそアリガト。凄い楽しかったよ」
明日香は右手で強く握り返した。
靴にはきかえ、脱いだ上履きは鞄に入れた。尚美が駐輪場で待っていた。
「有紗って帰り車?」
有紗は横に首を振った。
「そっか、自転車か~。じゃあ私歩いて帰ろ~」
尚美は携帯を取り出すと、どこかに電話をかけ始めた。
「…明日香…泣いてばかり…」
「だって…寂しいんだもん」
明日香はまだハンカチで涙を拭っていた。
「うん、ちょっと待ってね?…明日香泣きすぎだよ?」
尚美は電話を中断し、明日香を見ながら言った。
「いいじゃん今日くらい」
「ん~まあね…」
尚美は苦笑いしながら明日香を見た。
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