旅立ちの日

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明日香は、誰かにこの顔が見られてないか、ハンカチを少しずらして周りを見た。するとじっとこっちを見ている視線に気がついた。 「尚美…ちょっと来て?」 有紗の左手を少し名残惜しそうに離すと、尚美を少し離れた所に連れて行った。 「何々?どした?」 「校門の方。慎吾が何か挙動不審」 尚美はチラッと言われた方を見ると、慎吾が当たりをキョロキョロと見回していた。そして偶に1点をじっと見ていた。 「有紗待ちかな?」 「だよね?」 「というか明日香、自分の心配しないの?」 「もう私の事は良いの」 そう言いながら明日香は有紗の所に戻っていった。その後ろを尚美がついていった。 「有紗、ごめんね?私こんな顔だから車で帰るね」 「…わかった」 「私も親と食事行くから車で帰りなさいだって~ゴメンね」 「…わかった」 いきなり謝る2人に驚きつつも、有紗は特に気にしなかった。 「じゃあね。またメールするね~」 「バイバーイ!」 明日香と尚美が大きく手を振りながら去っていった。それを有紗は小さく手を振って見送った。
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