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その場に残された慎吾は、渡された絵を開いた。
フェンス越しに住む街と雪の残る高い山の絵。少し滲んでいたりはしたが、慎吾には深く心に残っている風景の絵だった。
それをひっくり返して裏を見た。
【中沢慎吾君へ…この絵は慎吾のお陰で描けた絵。だから大事にしてね 高橋有紗】
急いで書いたので、字は汚かったが、確かにそう書いてあった。
「へっ言われなくても大切にしてやるさ!!畜生がぁ!!」
慎吾は絵を丸め直して、空を見上げながら叫んだ。その声が有紗に届いたのかは、慎吾にはわからない。
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