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しかしその平穏な風景は破られた。
窓ガラスが割られ1人の男が入ってきた。右手には包丁が握られていた。
ちょうどその時、少女がダイニングに入るドアの前に立っていた。何が起きてるか解らず、ただドアの隙間から見ていた。
罵声が響き、包丁が父親の腹部に深々と刺さった。低い声を上げながら父親が床に伏せた。
男はその包丁を抜き今度は母親に振り下ろした。右胸に刺さり、なんの声も上げずに倒れた。
僅かに残された力で反撃をしようと、父親が男の右足を握った。しかしそれ以上のことは出来なかった。男は包丁で父親の背中を何度も刺した。その度に血が吹き出し、握っていた右手の力が抜けていった。
男は周りを見回し近くの棚を物色した後、入ってきた窓から出ていった。
その後車が急発進する音が住宅街に響いた。
その様子を少女はずっと見ていた。
両親が誰か解らない男に襲われ、とめどなく血が流れる様子をただ見ていた。
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