秋の訪れと共に

5/15
前へ
/29ページ
次へ
サンドイッチに手を伸ばす。朝は脳に糖分補給が大事とテレビで見たのを思い出し、ジャムのサンドイッチを手に取る。 「ブルーベリージャムか。美味いなこれ」 ブルーベリーが潰れずにそのまま残っている部分があり歯ごたえも面白い。思わず二口、三口と噛り付く。 「ふふ~、私が昨日見つけて買ってきたんだ」 そう言って得意げに胸を張る加奈。 「お金を出したのは母さんだけどね~」 「むぅ~」 膨れっ面の加奈が可愛いのですが。父さんもそんなやり取りを和やかに見ている。 しかし、この和やかムードに流されて忘れてはいけない事があります。 「……で、加奈さんは今日は何をねだるのかな?」 お兄ちゃん非常に気になってます…… 「うん、あのね……私兄さんと同じ高校受けたいの」 「「はあ!?」」 うちの高校は神龍(しんりゅう)高校。わりと自由な校風だけど、学力レベル的には中くらいの学校かな。 加奈は俺と違い成績優秀。県内のもっとレベルの高い進学校に、進む予定だと思っていたんだけど。 父さんを見ると同じく、驚きの表情をしている。 わざわざ神龍高校を受験する理由は何だろ。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

498人が本棚に入れています
本棚に追加