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「加奈理由はなんだ?父さん初めて聞いたぞ」
「ひ・み・つ……だよ」
可愛い……じゃないから!なんか父さん無条件に許しそうな表情になってるよ!?
「加奈、理由はちゃんと聞きたいな」
やっぱり理由はちゃんと聞いておかないとな。
「うん……兄さんと同じ学校に行きたいし……それに友達も皆神龍高校に行きたいらしいんだ……私一人だけ違う所とか嫌なの……」
今から変更か?いや、元々行きたいと思ってたけど、言えなかったとかあるかも知れないけど。しかし、親は反対しそうな甘い理由。
「ふむ、驚いたが。加奈がそうしたいなら、父さんは別にいいぞ」
まあ、父さんはこう言う人だからな。学歴なんか意味がないと思ってる節がある。父さんは高校卒業と同時に、爺ちゃんの店の喫茶店に就職した口だし。
「父さんちょっとは反論とかないの?」
「信也。俺は加奈に『父さんなんて大嫌い!』なんて言われたら泣きながら家を飛び出す自信がある!」
「……自信満々に言わないでよ」
最悪だ……何と言う情けなさ。息子の前くらい格好つけて欲しい。
けど――
「俺もいいとは思うよ。嫌々進学校で勉強漬けになるのもどうかと思うし」
正直加奈がうちの学校来たいと言ってくれるのは凄く嬉しい。
「やったぁ!二人共大好き!」
ニコニコと笑顔を振り撒いてくれる加奈。
「まあ、勉強はしっかりする約束なんだけどね~」
母さんがそう言う。すでに二人で決めた決定事項を報告しているみたいだ。
ふーん、加奈が同じ学校ね。
なんだか恥ずかしいような。嬉しいような。
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