秋の訪れと共に

7/15
前へ
/29ページ
次へ
「受かるといいな」 「うん!」 そんなやり取りをしていつもの食卓に戻った。 ◇ 朝食の用意をしなかった俺は食器を洗わせられている。あー朝から食器洗いは面倒だよね。 皿洗い自体はバイトで慣れているので、じゃばじゃばと高速で洗っていく。 「ねぇ、信也」 後ろから母さんが話し掛けてくる。面倒なので振り返らずに洗い物を続けたまま聞く。 「何?母さん」 「加奈ね。あんたと同じ学校に行きたいって何度も言ってたのよ」 その言葉にぴたりと手が止まる。……がすぐに皿洗いを続ける。 「へー。そんなそぶり見せなかったけどな」 「母さんにしか言ってないしねぇ。それに照れ屋だから……今のあんたみたいに」 「ぐっ……」 内心めちゃめちゃ嬉しかったのはバレバレか……さすがマイマザー。 「あんたの高校受けるんだから勉強教え…………あー忘れて今の。むしろ入ったら教えてもらいなさい」 ……さすがマイマザー……グサリときたよ。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

498人が本棚に入れています
本棚に追加