秋の訪れと共に

8/15
前へ
/29ページ
次へ
とりあえず支度をして玄関まで行く。すると妹が迎えてくれる。 「兄さん行ってらっしゃい」 「行ってきます」 今の時間はまだまだ登校には余裕がある為に、加奈はまだのんびりしている。 俺は学食ではなくパン食予定なので、昼ご飯買おうと思って早めに出掛ける。 玄関の扉を開けて外に出る。目の前にある家方に目をやると、予想通り見知った顔がその家の玄関前にいた。 うちの制服に身に包む少女。くせ毛のせいで、強めの外ハネの長い黒髪をしている。身長は加奈とあまり変わらず、小柄な感じ。天然に長い睫毛が印象的で、黙っていれば美人なタイプ。 くせ毛なんだから、伸ばすと大変じゃないのかな?いや、逆か?俺はくせ毛じゃないので、よく分からないけど。 「信、お待たせ。今日はどこ行く?」 「いや約束してない上待ってないから!むしろ待ったのそっちだよ!なんでデートの待ち合わせ風なの!?」 「……六十二点。それじゃあ、お笑いの道は開けない」 なぜか俺は彼女に、お笑いの道に進む事にされている。毎回ツッコミをさせられて、点数を付けるのが日課になっている。 「信にしては頑張った。ちょっとびっくり」 「紗枝(さえ)。別に毎日待ってなくてもいいよ?」 神楽坂 紗枝(かぐらざか さえ)。俺の小学生の時紗枝が家の真ん前に引越してきてからの腐れ縁というか。学校も同じでクラスも毎回同じになるという、有り得ない不思議な確率。 なんか微妙に独特の話し方をするし、未だに性格が掴めない所がある。 登校時はなぜか鉢合わせするというか、待ってくれていて一緒に登校する羽目になっている。いや、付き合ってないけどね。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

498人が本棚に入れています
本棚に追加