第2章 ~謎の男、現る~

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「こんにちは! わたくし、宝井優将と申します! 本日よりこの『少林寺拳法部』に入部することになりました! よろしくお願い申し上げますっ!!!」 優将は道場の入口を入ったところで高らかに声を張り、自己紹介をした。 その後ろで俺は、何がどうなっているのかさっぱり理解できないでいる‥。 『運用法』(組み手などの稽古のこと)前の少拳部の部員達も、動きが止まったまま、目が点。 「あ~‥えっと‥宝井君とやら。君は入部希望者かね‥??」 鈴木部長が微妙に戸惑いながら、いきなり現れた謎の男に問う。 優将は 「そうでありますっ!鈴木部長!! あなたの活躍はよく存じ上げております!!! 数々の演武大会で常にベスト4に残り、 今年の支部大会ではと2度優秀賞を受賞していらっしゃる“天才的”な拳士として、県内外にその名を轟かせているお方であります! これからワタクシもそんな大先輩の弟子になれて光栄でありますっ!!!」 と言い放った。 皆、さらにア然。 ‥‥‥‥‥(少しの沈黙) わなわな震えていた部長‥ 「‥‥入部許可ぁぁっ!!!」 「えぇっ!!部長!いいんですか!?」 副部長の宮城まのみ先輩が驚きながら尋ねる。 「いいのだ!!! こいつは絶対に素質があるっ! 身長も高いし、がたいもしっかりしてる。 すぐに全国大会レベルの拳士になるだろう!!! 俺が保証するっ!!」 「部長~そんなこと言って~‥ 今さっき来て、会ったばかりなんですよ~!?」 と、まのみ先輩。 「いいのだっ!!!」 ニヤつきながら話す部長。 「も~‥‥」 まのみ先輩は頭をかきながら、(もう知らないっ)って顔して呆れ果てていた。 「ありがとうございますっ!!!よろしくお願いしますっ!」 優将は笑顔で深いお辞儀をした。 (ったく‥‥おだてられたからって、入部許可しちゃうなんて‥、慶太郎先輩も単純だな‥) と俺は思った。 優将は俺の方を振り向き、ニコニコしながら“グーッ”と親指を立てた。 (なんなんだ?本当に僕はこいつとやっていけるのだろうか‥?) 先行きを不安に感じながら、 その日の部活が始まった‥。
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