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優将の自宅は
市街にあるらしく、そこからうちの高校に通っているらしい。
「てか、ユウが通っていた中学って何処にあるんだ?確か開盛中学って言ってたけど‥。」
俺はなにげなく聞いたつもりだが、
「えぇーー!!!マジで!!!???」
再び3人、驚きながらハモる。
「か、開盛中って全国で1番頭いい私立中学校じゃん!!」
沙奈が興奮しながら言う。
「そうなの?俺、知らなかった。」
(マジで知らない!)
「ウミィー!なんで知らないの??東京で1番高級なセレブ中学!!てか、なんでユウ君はそっちからうちの高校なんて入学したの??」未世が尋ねた。
すると優将は
「俺は‥‥。
こっちに引越すことになったからだよ。
ただそれだけさ。」
「へー、そうなんだ。」
(なんか意味ありげな表情していたが‥。まぁいろいろあるんだな‥。)
「あ!でも何で少拳部に入ったんだい?バスケ部じゃなくて。」
亮太が首を傾げながら尋ねた。
「あ~。最初は陸上部とバスケ部掛け持ちで入ってたんだけど、
少林寺拳法部に、なんかすごく頑張ってる1年生がいるって聞いてさ、
俺も、なんか新しい事に挑戦して頑張ってみるかなって思ったから。」
優将は小石を蹴っ飛ばしながら話した。
「でも、陸上とバスケはどうすんだよ。さすがに3つの部活動掛け持ちじゃあ‥」
「辞めたんだ!」
優将は俺の言葉を遮りそう言い放った。
「‥え!?」
「だから、陸上&バスケは辞めたんだよ。
これからは少拳部で頑張ってくことに決めたから‥‥
タカ、みんな‥これからよろしくね。」
優将はニコッと笑った。
タカ「おぅ!よろしくな」
沙奈「よろしく~!」
亮太「よろしくどーぞ!」
未世「よろしくぅん!」
(ユウってみんなに明るく振る舞っているけど‥
‥さっき見せた表情‥‥
なんか悩みでも抱えているんだろうな‥)
俺はそんな何かを感じていた。
雨あがりの夏の夕焼けが
俺の心を、より一層複雑にした‥。
みんなと別れてからも、ひとりで考えていた。
「ま、楽しくやってければいいや!」
夕日に向かってそう呟くと、家まで走って帰った。
突如現れた宝井優将という男との関係が、
今後、俺を大きく揺るがすことになるなど
知るよしもなかった‥。
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