再会

4/4

61人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
音楽室に連れて来られた青山は、未だに落ち着きのない表情で辺りをキョロキョロと見渡していた。 「あ、アンタここ座ってて」 青山は白鳥に、音楽室に置いてある肘掛け椅子に無理矢理と腰掛けさせられる。 「ねぇ…用件はなんなのよ」 青山に話し掛けられた白鳥はあからさまに表情を歪ませた。明らかに先程とは違った、嫌悪感と憎悪を含んだ笑みで。 「別に?」 「嘘」 「ホントに、只の気紛れ」 そう言うと白鳥は、青山の腰掛けている椅子の肘掛けに両手を付き、青山を逃げられない様にする。その相手の行動に青山は眉をひそめた。 青山の茶髪に染めた、腰に届くほどの長い髪を白鳥は掴むと、自分の方に引き寄せた。 「単純に、アンタがウザイ。邪魔。消えて欲しい。だから、会いに来た。」 「――は…?」 「ねぇ…俺の前から消えてくんない?」 白鳥は薄い笑みを浮かべたまま、淡々と言葉を並べた。髪を掴んでいた腕に力を込めれば、青山は「痛い」と小さく漏らし、表情を歪ませる。 その青山の顔を見れば、一層白鳥は笑みを深くさせる。その笑顔は残酷で残忍で…。 青山は自分の髪を引く相手を睨み付けると、負けじと相手の頬をひっぱたいた。 「―つっ」 その衝撃で青山の髪を掴んでいた手に引かれ、青山も表情を歪ませた。 「あんまり私を甘く見ないでくれるかしら?すっごいムカつくわ。」 叩かれたまま顔を横に向けたままの白鳥は、その青山の一言を聞くとニヤリと微笑んだ。ゆっくりと白鳥は青山に振り向けば、また髪を引き寄せる。 「昨日の…見たら、もうこの学校にはいさせない」 「学校でしてる方が馬鹿なのよ」 青山はすかさず反論すれば、白鳥はまた笑みを零す。 「アンタ面白いね…。」 白鳥はニッコリと笑いながら、相手の髪を離して囁いた。明らかに楽しんでいる表情で。それを聞いた青山は「…そりゃ、どうも。」と答えた。 青山は急に笑い出した白鳥を怪訝そうな表情で見つめた。 白鳥はそんな表情を浮かべる相手を無視して、ピアノの椅子を引きずって青山の椅子の前に置いた。 その時の白鳥の瞳は凛々と輝いていたのは、白鳥も青山も気付かなかった。 自分の前に腰掛ける相手を静かに見つめていた青山は口を開いた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加