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現代文の授業中に携帯が鳴った。 下川が黒板から生徒達へと視線を滑らせ、音の鳴る場所はどこだとギラつかせながら。 すると一人の男子、白鳥が手を挙げて「すみませーん、僕でーす」と、軽やかな口調で宣言する。 下川は汗でずり落ちそうになる眼鏡を中指で止めながら「き、気を付けなさい」とだけ注意した。それに白鳥は「了解でーす」と応える。 白鳥を怖がる先生は少なくないんだぜ、と教室の誰かが呟いたのを白鳥は聞こえたが、無視をし携帯の液晶を見つめる。 送信者の名前はなかった。 ――――――――――――――― 05/02 09:17(WED) 件名 アンタのせいなんだからね[★] 本文 ――――――――――――――― すっごいムカツク事が朝から起きたんだけど❗次の休み時間に別館の社会科準備室に来なさいよね[★][★] 来なかったらバラすから[★] ――――――――――――――― そのメールの内容からして、送信者は青山だと分かった。 確か昨日別れ際に自分のメアドと番号を教えたのを、白鳥は思い出した。 白鳥は口許に手を当て、肩を揺らしながら笑うのを耐えた。 携帯の時計を見れば、まだ一限目が始まったばかりだった。あと30分以上もあるのだと思うと憂鬱になったが、頑張ろうと白鳥は思った。返信ボタンを押すと、【分かったから、待ってろ。】とだけ送った。 自分の顔を見た時の青山の嫌な顔を想像しながら白鳥はシャープペンを握り、携帯をマナーモードにすれば鞄の中へと放り投げた。
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