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あれから数日間は普通に復習をして、彼も何も変わりはなくて。
ただそれが悔しかったりした。
何で普通でいられるの?
何で私と話せるの?
何で
付き合おうなんて言ったの?
耐えきれずに、私はその日の復習を終えた夕暮れ時に、誰もいない下駄箱で聞いた。
聞いたら負けだって、聞いたら自分から「あなたの事が好きで好きで堪らない」って言ってるようなものだって、分かってるのに。
一度開いた口は歯止めが聞かなくなり、気付いたら私は、教科書も筆記具も全て投げて白鳥くんの肩を掴んでいた。
その姿を見た彼は驚いていたけど、ゆっくりと微笑み掛けてくれた。
「やっと、『先生』じゃなくなったね。」
そう言って抱き締められた。自分より頭半分小さい彼が、めいっぱいに背伸びをして強く引き寄せてくれた。
教科書なんていらない。
教師って何?って思うの。
ただの肩書きだけで人と普通に恋が出来ないなんて、馬鹿げてるわ。
だから私は、彼の前ではただの女。大人とか教師とか、そんなの関係ない。
ただ、
彼さえいればいい。
私にとって彼は全て。
彼にとっても私が全て。
「春菜、愛してるよ」
ねぇ、瑞稀。
あの言葉は嘘なの?
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