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入り口にいたのは雨宮和弘。 青山の想い人。 青山は顔を青くしてピアノから指を離す。さっき雨宮が来て「友達から」と言われたばかりなのに。それを白鳥に知らせたばかり。 なのに、今は薄れてる…気がするのは私だけかしら。 「瑞稀、戻るぞ…佐賀が呼んでる」 雨宮が溜め息を吐きながら用事を告げた。佐賀とは世界史の女教師で白鳥をえらく気に入っている。 その佐賀が白鳥がいないことで不機嫌になったのと、仲のよい雨宮に探しに行けと命令したこと。 それを雨宮は嫌々ながらに吐き出せば、近くの椅子に腰かけた。 雨宮は白鳥から青山に視線を滑らせると、ニヤリと口許を歪ませて頬杖を付いて見つめた。 「…青山、だよね」 青山は肩を震わせて振り向いた。 雨宮の表情はどこか睨んでいるようにも見えた。
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