波多高男子

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波多見高等学校には有名な四人組がいる。 通称"波多高男子" その中に白鳥瑞稀はいる。 容姿は幼い顔立ちにくっきりとした二重、中学までは綺麗な黒髪だったのは、今ではハニーブラウンに染めて女物のピンで止める事が多い。四人のなかで一番身長が低く、「弟」のような存在の学年のアイドル。 他には、リーダー的存在の雨宮和弘、V系の姿で目を魅く五十嵐雅、長い黒髪が特徴である眼鏡っ子の稲村あき。 毎朝、波多高男子は揃って登校をする。 そして今日も―― 波多見高等学校の校門で、いつもの様に黄色い歓声が上がっていた。波多高の女子はおろか、ひと山隣りの学校の女子も登校の途中に寄って来るほどで、校門には女子が寄ってたかっては押し押され、そうまでもして四人を見たいらしい。 四人が通ると、女子は綺麗に道を開ける。 「…面白いなぁ。ここまで集まると、砂糖に群がる蟻みたいだね。」 自分達の回りを囲う女子を一瞥すれば、ニッコリと愛想を振りまきながら小さく白鳥が呟いた。 「ちょっと…それは言い過ぎでしょ?瑞稀ってホント性格悪いわね」 そう呟くのが聞こえた稲村は眉間に皺を寄せながら反論する。 波多高男子の中で一際目立つのは、やはり稲村あきだった。今学期の始めに東京から越して来て、どの女子よりも端麗な容姿に一目惚れした、雨宮和弘の恋人である。 女子を騒がす「波多高男子」のリーダーである雨宮和弘の恋人。その存在は回りの女子からは疎まれていた。その姿を見兼ね、波多高男子の一員として仲間に入れてやろうと提案したのが白鳥だった。 「わ、分かったから。そんな怒らないでよ。」 親友の彼女で、妹のような稲村に注意されては白鳥も口を噤む。 そんなやりとりをする二人を眺めて笑っていた五十嵐が、昨日白鳥の零していた愚痴を思い出し、ふと声を掛けた。
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