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彼女の頼み
「ちょっと話しを聞けって」
「たくさん言い訳は聞いた!もう聞くことなんかないの!」
「言い訳ってなんだよ!いいから話しを――」
「――君にプレゼントをあげるよ」
俺は二人の間に無理矢理入って彼女の腕を掴んでいた男の手を離させ、男には背中を向け、彼女だけを見て微笑んだ。男は驚きのあまり声がでないらしく、彼女もまた驚いていた。
「っなんだよおまえ!」
やっと我に返ったのか後ろから男の声がして、振り返って睨みでもかましてやろうかと思ったのに目の前から発せられた声に阻まれた。
「サンタさん!」
「は、はい?」
「わたしをどこかへ連れてってっ…!」
断る理由なんて探すだけ無駄で、でも探す余裕なんか意味なんかなくて、目の前で俯き俺の体に触れながらまた泣き出す彼女の手を掴んで、とりあえずどこでもいい、その場から離れた。男はおい!とだけ叫んで追い掛けてはこなかった
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