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サンタでいたい
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「っ…大丈夫?」
「だ、いじょうぶっ。でも疲れた…」
どれぐらい走っただろう、とにかくあの場所からは結構離れた公園にきた。小さな公園でもうすぐ23時になるせいか公園には猫一匹いなかった。走ったせいでお互い肩で息をしていてベンチに座り、息が整うのを待った。吐く息は白く空に消えた
「あの、ごめんなさいっ…巻き込んでしまって。」
「いや、大丈夫ですよ。」
なぜだろう、いまさらこの現状に胸が高鳴った。あの彼女がいま、隣にいることが不思議で、でも彼女の気配がリアルで寒いはずなのに体が熱かった。この真っ白く長いこのヒゲが息をするのに邪魔で取りたかったけどこれを取れば俺はサンタではなくなる。彼女の前ではただの男よりサンタでいたかった
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