優しい

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優しい

    「サンタさんは面白い人ですね。そして、本当に優しいんですね」 「優しくなんか、ないですよ」 現に、抱きしめたいなんて思っていたのに。ましてや面白くもない。俺なんかただの高校生でただの男だ。なんの取り柄もなく、決まった毎日を過ごしているだけの人間。 「優しいですよ…何も、聞かないんですから。」 何にも、とはさっきのことだろう。本当は 、聞きたい。何があったのか、そしてあれは誰なのか。俺は本当に彼女をこんな人気のないところまで連行してきてよかったのだろうか。 でも、俺はただの、他人にすぎないんだ。 それからしばらく、沈黙が続いて、数分が経った頃だろうか。 おもむろに彼女がベンチから立ち上がり、俺の前に立つと、手を伸ばしてきた。    
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