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「これを持っていけ」
そう言って茶色の紙袋を渡す九条。
「これは?」
中には青いビニール袋が入ってる。それは俗にいうエチケット袋、キタロウ袋と呼ばれる嘔吐した物をいれるヤツだ。
「吐きたくなったそれを使え」
「この機械は一台ウン千万するから。壊した瞬間死ぬまで強制労働だから」
さらっと、ついでに恐いくらいの笑顔で怜香が言う。
「………(ガクガクガクガク)」
怖かった。これ以上に何がある? って聞きたいくらい、怖かった。
「ほら、さっさと乗る」
「………(コクコクコクコク)」
言われるまま中に入る。そこにはシートと操縦桿、ペダルに各種機械がある。だがモニターが何処にもない。
「あの……」
外にいる二人にモニターの事を聞こうとしたが、いきなり扉が閉じて中が真っ暗になった。
「京弥、こちらの方で起動の準備をするから君は座って目をつぶっていてくれ」
今は無線ごしに巫女斗が指示を出す。もとより中は狭く座っていなければならないのだが、目を閉じなければいけないのは何故だろう。
「合図があったら開けてくれ」
仕方がないので目をつむる。しばらくするとパソコンの電源を入れたときに聞こえる低く唸るような音がした。同時に瞼の裏に奇妙な違和感があった。
「イイぞ」
恐る恐る開いた目には、
「⁉」
どこまでも続く真っ白な世界が映っていた。
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