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視界がぶれたその直後目の前に赤い攻殻機が現れ、いきなり発砲した。
「⁉」
その弾丸を跳躍して避けた京弥は今廃墟となった建物の一つに身を潜めている。向こうの機体は銃を持ち、背中に刀を装備している。ゲームならハンディキャップ10といった所だ。
対してこちらは装備無しの丸腰だ。
「勝てる気しねぇ」
それでも悪あがきはとことんするつもりだ。
「外したか……意外に機動力はあるのか」
最初の一発で仕留めるつもりだった遥は新型プログラム(京弥)の動きをこう評価した。
灰色の機体は古びた建物が多くあるエリアに身を隠している。これなら障害物で銃の効果が半減する。
「機械のわりにはヤルってことか」
自機の銃を確認する。残りは250発程度、予備弾倉は持ってない。あとは近接格闘用の長刀のみ。大丈夫。
たかが機械ならこれでもイケる、遥はそう判断した。そして相手を追い詰めるため機体のブーストを使い一気に加速させた。
交差点の真ん中で突撃砲を構えた遥機は狩りを楽しむハンターの様に京弥機を探している。
「⁉」
物音がした瞬、その方向に向かってトリガーを引く。フルオートで吐き出された弾丸は障害物を破壊しただけだった。
「ハズレかよ……⁉」
センサーが後ろの方向に何かを感知した。慌てて振り向いたら自分の機体が激しく揺れた。
「………コンクリートの塊? これを投げた? フザケやがって❗」
直ぐさま発砲。しかしこれも遠く向かい側のビルを壊しただけだった。
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