1 異

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『赤羽機撃墜~~』 基地司令の愉しげな声が遥の耳に入ってくる。 ゴンッ 負けたことが悔しくて拳を壁に打ち付ける。 「もう一回❗ もう一回だけやらせてください‼」 そして再戦を希望する。だが怜香は聞いていない。正確にするならば、全くの素人が実戦経験のあるベテラン相手に勝ったというイレギュラーな出来事に狂喜して、耳に入ってこないのだ。 「まさかホントに勝つなんて❗ イイわ❗ 最っっっ高に面白いわ‼」 京弥が勝つかも、確かに口には出したが怜香自身は全くと言ってイイ程その可能性を否定していた。せいぜい5分持てばイイくらいと考えてたのだから。 隣の巫女斗は余りのことに声さえ出ない様子だ。 シュミレーターから出た遥は目の前の光景、やたらと機嫌が良すぎる基地司令と驚きの余り茫然自失となっている訓練生を見て、怒りが引いた。 「大尉。どうしたんですかあの二人?」 「……お前の相手が勝ちを決めてからずっとあんな感じなんだ」 吊されたモニターの近くにいた自分の上官に質問をしてみるが彼女もわかっていないらしい。 「しばらく藤之宮司令が落ち着くまで待とう」 「……そうですね」 5分経過 「いい加減ネタばらしした方がイイわよね」 ようやくいつも通りになった怜香は直属の部下からの質問に答えた。 「イイのですか? 司令」 「べつに構わないわよ。隠すことでも無いし。出て来なさい」
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