1 異

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ロックされていたシュミレーターの扉が開く。 中で、 「オェェェェェエエェッ」 袋に向かって全力で吐いていた。 『…………』 ピッ 気まずくて再び扉を閉じる怜香。巫女斗も京弥のみっともない姿を目撃して些かがっかりしている。 部屋の中の空気がとてつもなく重い。 「どうしましょう? 大尉」 「う、うむ司令に聞いてみるんだ」 「ええ❗ 嫌ですよ。地雷踏みそうですし」 「私だってそうだ。……仕方ないな、赤羽揺少尉、命令だこの状況をなんとかしろ」 「うわ、汚ねぇ❗」 怜香に聞こえないように小声で押し付けあう軍人二人。結局は上官権限で皐月は逃げ、遥が尋ねるはめになった。 「…………ハァ」 上官を怨めしげに一度見て、意を決して怜香に話しかける。 「あの……さっきの少年は?」 「え、ええっと」 ちらりと巫女斗に視線を送る怜香。巫女斗が頷く。どうやら京弥は吐き終えたらしい。 呼吸を整え、何事も無かったかの様に振る舞う。 「出て来なさい」 再度シュミレーターが開かれる。 「アイツはね、藤之宮京弥。私の弟よ」 やっと紹介された京弥は、シュミレーターから一歩踏み出し、 「……………オェェ」 再びキタロウ袋のお世話になっていた。
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