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「いつまで吐いてんのよ❗」
怜香は手にしている紙の束で京弥の後頭部を叩いた。パン❗ と軽い音がして、京弥はようやく紙袋から顔を上げた。
「なにするんですか……」
「せっかく人が紹介してるのに無視するんじゃないの」
体調もいくばくか回復したらしく顔色も良くなった京弥が答える。
「いや~とんぼ返り十回連続に挑戦してたんだけど、急に暗くなって」
そこまで説明されて怜香は理解した。
「ああ、急に電源を切ったから脳に負荷が掛かったのね」
ウンウン、と首を縦に振る。
「そういえば赤羽のシュミレーターの電源を切るときついでに切ったの忘れてたわ」
「あんたのせいか❗」
悪びれる様子が無い怜香に全力でツッコミを入れる。
「あの……司令」
「なによ? 九条」
「大尉達が困ってますよ」
「……忘れてたわ」
「さっきも言ったけど私の弟で、赤羽ぁ」
「う、何ですか」
怜香の邪悪な笑みを見て身構える遥。
「対戦した灰色の機体の操縦士よ」
「な⁉」
「しかもシュミレーターとわいえ初めての操縦で実戦経験のあるパイロットを倒しちゃうなんてねぇ」
怜香の言葉で絶句したのは遥だけではない、皐月も、自身の背中を預ける事のできる部下が素人以下の相手に敗北したと知って驚いている。
「彼は本当に今日が初めてなのですか?」
「そうよ」
皐月の質問を簡潔答える怜香。
「でわ先程の新型プログラムという話も」
「当然嘘よ」
おもわず睨みつける皐月と遥かに、京弥は本気でビビっていた。
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