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「む、どうした? 大声をだして」
「いやいや原因は軍曹ですからね!?」
せっかくのやる気も『鬼ごっこ』の一言で霧散してしまった。
だって……ねぇ。『鬼ごっこ』ですよ。訓練にしたってもうちょっと名称を考えた方がいいんじゃないのか?
「なるほど貴様はこの『鬼ごっこ』に意味があるのか疑問なのだな」
隠しても仕方ないので素直に頷く。
「本来ならばこの訓練は小隊内または小隊同士で行われてな」
「…………」
「敵地からの脱出する側、それらを追う側、この二つ分かれて第一グラウンド、野戦訓練場を使う」
いったん言葉を区切り再び説明を続ける。
「これには様々な技術、例えばトラップの解除や設置などといった物が必要となり今の貴様には早いが……効率的に技術、体力を叩き込むには致し方ない」
「つまり『鬼ごっこ』で体力だけじゃなく技能も同時に鍛えるんですね」
「その通りだ」
京弥が要約するとその内容に満足したかのように頷くカナメ。
「理解したならば早速始めるが……覚悟はイイか?」
覚悟はイイか? その台詞に京弥の十円玉サイズまで退化した本能が珍しく危険を訴える。
「……あー、五年後でイイですか?」
「訓練を始める!」
「無視された!」
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