2 鍛

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この基地の名物である「鬼ごっこ」は複数の訓練生と教官一人で行われる訓練である。実施させるのはニ回、入隊時と訓練の卒業時だ。一度目は新入兵の歓迎行事と教官との 実力差を思い知らせるため。二回目は卒業試験としてである。 「であるからして、本来は複数人の訓練生が対象になるから一人捕まえるのにあるていど時間が掛かるけど・・・・・・ねぇ。さすがに開始十分は早すぎるわよ、京弥訓練生」 あまりにも情けない姿に言葉遣いが普段の柔らかいものに戻ってしまうカナメ。 「も、申し訳ないです」 とうの京弥はというとカナメに押さえられ地面につっぷしていた。 開始から十分ほどの出来事である。情けないことこの上ない。 「せめて三十分は逃げ切れないと話にならないわよ」 「い、今の三倍、ですか・・・・・・」 ちなみに、新入の訓練生がこの「鬼ごっこ」で教官に最初に捕まる平均の時間はだいたいニ十分。これは複数人であることや事前の体力トレーニングなどを考慮したものだ。それから考えれば十分と言う時間は誇れはしないものの悪くはないはずだが、 (足りない) とカナメは判断せざるおえない。 二週間という期間で今の訓練生たちと同じ体力と最低限のサバイバル技術を叩き込むには時間があまりにも少なすぎる。 「よし、では再開するぞ。次のカウントは三百秒だ」 「短くなるんですか!?」 「当たり前だ。これは訓練なのだぞ」 「そんなぁ・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・貴様はどうやら必死さに欠けるようだ。そうだな、これから捕まる毎に衣服を一枚づつ没収していくか」 「ちょっ!?」 「ほら、カウントは始まっているぞ」 「有無もいわさずに!」 「情けだ、いまの分は無しにしてやろう。さぁ、逃げろ」 今度は口答えせず素直にその場から逃げ出した。
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