22人が本棚に入れています
本棚に追加
そうやって冒頭に戻る訳だが・・・・・・
「しくしく・・・・・・もうお婿にいけない」
あれから一時間と少しこの間に五回捕まり丸裸にされた京弥。表現がいささか古臭い。
「その、なんだ・・・・・・・・・・・・・・泣くな!!」
午後一時までまだ時間はある。
「しかたない、いいまから三十分休息をとる。しっかり休んでおけ」
「・・・・・・・アイ、サー」
じょじょに軍隊様式に染められていく京弥。
一方で、
「くっ・・・・・・・! もう一度だ」
シュミレータルームで悪戦苦闘している人物がいる。
彼女はコンピューター相手に対攻殻機の一対一戦闘訓練をかれこれ三時間はぶっとうしで続けていた。本来ならばこの時間、彼女の所属する小隊はシミュレーターでの戦闘訓練の予定だったのだが、急遽変更し個人訓練となったのだ。
「ん? ・・・・・・・みんな休息にでも行ったのか」
ミコト以外の四人、さっきから小隊の仲間が乗っていた機体の姿が見えない。いつの間にかシミュレーターから出て各々休憩をとっているのだろう。彼女もそろそろ休息を挟まなければならないのだが、
「もう一度だ」
止める様子はない。そんな彼女の瞳には劣等感から来る焦りの色がうかんでいる。
原因は・・・・・・京弥だ。
司令の縁者であったとしても彼の肩書きは只の民間人だ。そんな者に半年間以上軍事訓練を積んだ自分の機体操縦技術は劣っているのだ(そんなことを言っては模擬戦で負けた遥は自殺もんだろうが、ミコトはその事を完全忘れていた)。
今彼女がしているのは攻殻機同士での白兵戦だ。ただし相手側は長刀を装備しているのに対してミコト機は丸腰だ。
「もう一度だ。・・・・・・こいッ!!」
彼女の列泊の気合いと共に放たれた言葉に呼応するように敵機体は斬りかかった。
最初のコメントを投稿しよう!