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「さて、君の名前を聴かせてもらえるかな?」
先程保護された少年は今地下室のような場所に連行され、尋問されていた。
「……えっと、何かのどっきり? それか映画の撮影すか?」
「? 何を言っとるんだ」
質問をする男も相手の非常識さにうんざりしつつもせめて名前だけでもと、尋問を続ける。
「……いいから、名前を答えろ」
「名前ですか……あっ、それよりも、俺の作ったケーキは何処だ?」
「いいから名前を言え‼」
あっ、キレた。
その時、
「苦戦してるみたいね」
扉が開き一人の女性が現れた。かなりの美人だがその目に映る意思の強さが近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。
「し、司令⁉」
慌てて敬礼をする男。どうやらこの美人は相当偉いのだろう。
「個人的に知りたいことがあるから貴方は元の持ち場に戻りなさい」
「了解です」
一方的な命令に直ぐさま従い男は出ていった。
「さて、いろいろと聞きたいことはあるけど、先ずは名前を言ってもらえる?」
「それよりも俺は貴女の名前を教えてほしいな」
あまりの軽薄さに頭を抱える女性は考え直し自身から名乗ることにした。
「私はこの基地の司令官、藤之宮怜香よ」
名前を聞いた途端、少年の目が驚きによって見開かれた。その反応に疑問を感じつつも、女――怜香は再度名前を聞く。
「俺の名は――」
ようやく言った名は、
「藤之宮京弥だ」
今度は怜香が驚愕する番だった。
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