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「早く描き終えなきゃね。締切明後日でしょ?」
「そうだねぇ。あ、やっば! あたしのまだ殆んど出来てないじゃん!」
「いつも絵描かないで漫画読んでるからでしょ。自業自得だよ」
「ええー」
茜は未夢に笑われながら渋々キャンバスの前に座る。
煉瓦の塀に座った猫はまだ着色されていなく、ここから本格的に書き始めるとしたら、かなりの時間を要するだろう。
「ねぇ」
紙パレットに絵の具を足しながら未夢は龍人に話しかけた。
「ん、何?」
「平良は?」
「ああ、もうすぐ来るんじゃね?」
「そう」
未夢は筆で絵の具を混ぜる。
そして、ちらと平良の絵画に目をやった。
龍人の目も自然にそちらに移る。
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