絵描き仲間の日常

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「不思議な絵だよね」 「確かに」 「何か意味とかあるのかな」 「分かんね」 「だよね」 未夢は絵から目を戻し、色彩調節を再開する。 それとは逆に龍人は、描く準備をする手を休めたまま目を離せずに眺め続けた。 平良の絵……何処か危うさのある、不可解な絵画。 少し色を間違えば彼の海は黒雲に染まり、夕日は血色に変化しそうな世界。 龍人は思う。 その世界は彼自信にも通じるのではないか。 気さくな性格。 誰にでも好かれそうな明るさ。 それなのに、教室ではいつも一人でいた。 『あいつ、話しやすくていい奴なんだけど、何だろう…話しかけんなオーラでてんだよな』 以前、龍人の友達が語ったのを思い出す。 やっぱ、天才は特別で変な奴が多いのか。
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