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天気、快晴。
しかし、カーテンが閉められた部屋は薄暗く、太陽の恩恵を拒絶している。
様々な画材が散乱する机の上、書きかけの油絵。
絵の具の匂い。
石膏像の視線が混じる誰もいない美術室は、独特な雰囲気を醸し出していた。
「あーあ。また1番のりか」
そんな静かな美術室に男子生徒と思われる声が響き渡る。
思ったよりも大きく響いた自分の声に、大橋龍人(おおはしりゅうと)は苦笑した。
今週は掃除が休みだった為、自由になるのが早いのだ。
男声というより、中性の声を持ち、華奢な体で着崩した制服。
禁止されている筈のカーディガンを着用し、その下にはくズボンのみが、彼の性別を示している。
ふと龍人はある部員のキャンバスに目を移した。
あいつ、また海描いてんだ…
龍人の目線はその絵の隅から隅まで撫でる。
やはり上手い。
美大を目指す奴は違うな。
その絵、濱崎平良(はまざきたいら)のキャンバスに描かれた美しい海の絵は、部室の後部に幽幽とその姿を晒していた。
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