絵描き仲間の日常

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海 それは、龍人やこの町の人々にとって最も身近な存在である。 空石町は海に面した町だ。 実際、この学校からも海を挑めることができるし、数分歩けば、少々ゴミは落ちてるが美しい砂浜に到着する。 しかも、龍人の家は海に面する旅館で、自分の部屋からでも海が見え、窓から手を伸ばせば触れてしまえそうな程だ。 飽きることはない。 毎日海は違う姿を見せるし、沈む夕日はこの世界で最高に美しいと思う。 貝の落ちた砂浜。空を映す青。数々の伝承残る……そんな海。 きっと、平良もこの海を愛して止まないのだろう。 絵を見ているとそう思えた。 なのに、違和感が何故か胸を刺すような不快感を与えてくる。 平良の絵は確かに美しい。 しかし、まだ色が薄く、下書きが見える海の中、 小さな少年が浮かんでいるのだ。
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