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龍の、傀儡半分を、
金の糸が、紡ぐ。
布地を、截断してゆく 断ち鋏・・
ヂョギ ヂョギ ヂョギッッ・!
狭い店内には、達磨ストーブ・・
達磨ストーブの上の、ヤカンは蒸気を吐く。
表に、掲げてある。仕立て屋 拝の文字。
耳に、マイセンの煙草を挟んだ、西工のヤンキー生徒が 店主に聞く。
『 なぁ?、オッチャン?・・』
店主は、鋏を持ったまま、不機嫌な顔で・・、
『 まだ、お前のボンタンは出来てねぇーぞぉ!。』
『 違ぇーよ、』
西工の男は、布地の龍の刺繍を、息を呑んで見ながら・・
『 その、学ランの裏地の龍・・もしかして、朱雀の方の?』
オッチャンは、龍の刺繍を指でなぞりながら、
『 おう!。3年の、四方拓也の学ラン!。竜美軍団、4代目の学ランだっ!!。』
達磨ストーブの上の、ヤカンは 蒸気で蓋を落とす。
春の陽射しは、まだ寒く
ストーブは、まだ頑張る。
仕立て屋の、学ランに、四方が龍の紋章を!刺した時、朱雀の新しい生活が始まる。
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