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篤「とうちゃーく!」
海辺のオートキャンプ場は既に活気に溢れていた。家族連れ達、大学生らしき若者達、カップル達。
遊び盛りの二人をママに託し、パパはバーベキューの下準備に取りかかった。
設営、炭火、野菜のカット、食器類の準備。。
1時間が過ぎただろうか。時計は午後0時を回っている。テーブルの上には既に食器や食材が並んでいる。
炭の上では、飯盒がコポコポと音を立て、微かに炊飯中の米の匂いが漂っている。
「おーい!そろそろ始めるぞー!」
遊び回ってお腹を空かせているらしく、篤と望は一目散に駆け寄ってきた。
肉や野菜の、イイ匂いが一層食欲を誘う。
双子A【あぁ…。。ついにアタシ達の出番が来たようね。。】
双子B【そうね…。ずっと一緒にいたけど、それも終わり。離ればなれになるんだわ。】
双子A【うん。。離ればなれになったらもう二度と今までのように一緒にはなれないね。。】
双子B【それだけじゃないわ!その後は…私達…捨てられるのよ…】
双子A【そうね…。でも…それが私達の生まれてきた運命なのね…】
「いただきまーす!」
別れを惜しむ双子を意にも介さず、篤・望・パパ・ママは次々に双子に手をかけた。
双子A【あぁ!】
双子B【いやっ!】
双子C【サヨナラ…】
双子D【今までありがとう…】
4組の双子達は遂に訪れた別れと、その先に待ち受ける死を受け入れざるを得なかった。
そう、双子達の正体は割りばしだったのだ。
「肉もーらいっ🎵」
篤が肉を掴み口へ運んだ。
これから死にゆく双子達にとって、それは最後の幸せと言えるだろう。
肉や野菜を掴み、そして口へ運ばれ食材を放つその刹那。ほんのわずかながら、今や離ればなれになった双子達が触れ合えるチャンスなのだ。その一瞬一瞬が、彼女達にとって【これが本当に最後かもしれない】という、貴重且つ恐怖なのである。
篤「ごちそうさまー🎵」
望「お腹イッパーイ⤴」
篤達はお皿の上に乱雑に箸を置いた。
ママ「ごちそうさまの時はお箸を揃えるのがマナーって言ってるわよね?」
篤・望「はーい。ごちそうさまでした!」
双子達【ママさん…ありがとう!最後の最後にまたくっつけてくれて😌】
満足した篤達は再び海辺で遊び始めた。
パパ達がゆっくりと食事を終え、片付け終えた頃には陽も傾き、19時を迎えようとしていた。
「よし!帰るか!」
一家は帰路についた。
(次の章へ)
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