友人

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他人の友人関係がどのようなものかはよく知らないが、私の友人関係は、恐らく他人のそれより殺伐としている。 今でもよく飲みに行ったりする、高校時代の友人達との関係が一番特徴的だ。 とりあえず、互いの不幸は指を差して笑い飛ばすのが礼儀である。心配など、まず期待出来ない。私の大学留年を、飲み会のネタにするような奴らだ。高校在学中に糖尿病になった奴がいたが、それも笑いのネタになっただけだった。 とにかく、お互いを労らないのである。 誰かが悩みを抱えていたら、それがどんなに深刻なものであろうと、散々笑いのネタにした後に放置する。こちらから引っ張り上げたりはせず、自力で這い上がってくるのを待つのだ。 薄情とも取れるが、この関係には理由がある。 女の悩み相談は下らない。聞くだけ聞いてこちらなりのアドバイスをした所で、それが相手の意に沿わないものだったら、逆に責められたりする。意に沿うものであったとしても、解決しない場合が非常に多い。相談を聞くだけ聞いて、結局解決しないなら、それは時間のムダというものだろう。 つまり、他人の為に自分の時間をムダに割きたくないのだ。全員が利己的だから、他人の利益など構っていられない。 それに、こちらから手を差し延べなくたって、放置していれば勝手に這い上がってくる奴だ、という信用もある。助けが無いと這い上がってこれないような軟弱者を友人にした覚えは無い、と皆が思っている。 一歩間違えれば絶縁モノの関係だが、これはこれでなかなかに居心地が良い。というか、面白い。 良い関係を持ったものだと思っている。
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