勿忘人と叶わぬ告白

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「ふわふわー。よし! それで、今日は何処に行くんだっけ?」 「悠が赤点じゃなかったお祝いなんだから、悠が行きたい場所じゃない?」 「私が行きたい場所かぁ……」      僕がそう言うと、悠はうーん。と目を瞑って考えだした。今の悠を誰かが見たとして、この学校の大学生だと気付く人が何人いるのだろうか? それほどまでに悠の外見は幼かった。  身長が小学生と同じくらいの小ささで、内側にくるんと癖がついた髪。目を閉じ、左右にゆれながら楽しそうに何かを考えているその表情といい、小学生かそれ以下に見えないこともない。  僕がよく悠と一緒にいると「お前ってロリコンだよな」と言われるのもそのせいなのかも知れない。     「あ、決まったよー。私ねずみ御伽の国に行きたい!」 「ねずみ御伽の国……? それ確かこの前も行かなかったっけ?」 「あれれ、そうだっけ? でも……また行きたくなっちゃったんだよー」 「まぁ、この前の時は人が多くてあんまり見て回れなかったしね」 「うんうん。そうだった、ね!」      東京ねずみ御伽の国。通称ねずみの国。なにやらすごいねずみが、全国の御伽噺をリスペクト、その世界を再現したアトラクションで遊べるというアミューズメントパークなのだ。東京ねずみ御伽の国と言っても、東京にある訳では無く、千葉県にある辺りが少しよくわからないのだが……。とにかく若い人、特に女性に人気が高いスポットなのだ。
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