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――昼下がり、主に野菜の商業が盛んな町、シフォーネを走っている。
商人同士、商人と客、はたまた商人と農家が取引や買い物をしている通りの光景はまさに商人の楽園と言ったところか。
「そちはどこへ行くのかえ?」
突然隣に座っていたおばあさんが話しかけてきた。
カルムは静かに振り返る。
白髪でシワが多く、杖を膝の間で持っているそのおばあさんはとても笑顔でカルムを見ていた。
そんなおばあさんにカルムは一度溜息をつき、答える。
「国境だ」
「あらまぁ。国を出て行かれるおつもりですかえ?」
おばあさんは笑顔から一転びっくり仰天とばかりに口を開けて言った。
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