シーン3【帰還の都】

9/11
前へ
/63ページ
次へ
言っている途中スタロブはカルムの大きな鞄をずっと見ていた為、何故ここに来たか恐らく分かっているのだろう。また少し顔を辛そうにしている気がする。 「……オーガニロブ王国へ行きます」 俯いて言うカルム。 「そうか、本当に行くのか?」 強く、真剣な口調でカルムに問うスタロブ。 「ハイ」 カルムは俯いていた顔を上げ真剣な眼差しで言った。声量こそ大きく出さなかったが、この一言に強い決意を込めたつもりだ。 「分かった。お前がそう決めたのならワシは止めまい」 「今まで……ありがとうございました」 気持ち程度頭を下げながらカルムは言う。この時、脳内にはスタロブとの過去の映像が流れ込んでいた。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

583人が本棚に入れています
本棚に追加