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「お父さん…とにかくがんばろ？」
解雇通知を握り締め ぼんやりしている俺に 妻が話しかけてきた
頑張る？
何の為にだ
頑張った先に 何がある
こんな体で無職になった俺に
なにがあるんだ
「お父さん…」
「…すまないが…独りにしてくれないか？」
それしか 俺は言えなかった
無理に笑おうとも出来ず
気を使う妻が 鬱陶しくさえ思えた
「何か飲み物買ってくるわね」
一言だけ言い残して 妻は病室を後にした
独りになって真っ先に思ったのは
《あの事故さえなければ…》
あの日 あの時 あのトラックさえ突っ込んで来なければ 俺は…俺達家族は今も笑って過ごしていられたんだ
“前方不注意による過失”
そんな一言で済むような事故
一瞬にして 俺の人生は変わった
俺が何をした！
ただ頑張ってただけだ！
家族の為
自分の為
幸せ求めて頑張ってただけだ！
なのに この有様だ
なぜだよ！
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