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単調なリズムを刻みながら周りの景色に馴染むことを許さぬように物体は動いていた、もとい、移動していた。
それは人を乗せ、移動し、各場所で停まり、人を下ろしていた。
その日は雨が降っていた。
秋が深まってきているとはいえ電車の中は蒸し暑さでいっぱいだった。
ふと誰かの携帯が鳴った。
宇多田ヒカルの'光'が空気を震わせ、電車内に広がった。
慌てて携帯を取り上げて開いたのは身長156㎝くらいのストレートヘアをした女子高生だった。
彼女は梶田由香里(かじた ゆかり)といい、友達からは'ゆか'と慕われ、彼女が所属していたバレー部ではキャプテンを努めた。
彼女は携帯をマナーモードにし、それから携帯を鳴らしたメールを開いた。
周りにペコペコと会釈をし、小声で「すいません」と謝る。
新聞紙から顔を少し覗かせた頭のはげたオヤジがにらんでいるが気にしない。
[ぉはょぉ(・ωヾ)💤まだ眠ぃょぉ…宿題まだゃッてなぃんだぁ😓ゅヵちみしてぇ😆⤴]
同じクラスの友達、原田久美子(はらだ くみこ)からのメールだった。
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