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そんな中、蓮は相も変わらず嫌な笑みを浮かべています …と、言うか賞品である私の意志はどうなるのでしょうか? コイツ等は私を人間だと思っていないのでしょうか? 実に不愉快極まりない けれど、多数決の原理というものなのでしょう…少数派の私の意見などに耳を傾けてくださるような優しい方はここにはおらず、どんどん話は進められていきます 「で、何をするんです?やっぱり、海だからビーチバレーとか?」 「いいや。そんなありきたりな勝負ではつまらないだろう?」 蓮は何かを企むような笑みで私を見てきます そこで何故、私を見るのか意味がわかりませんが、蓮の考える事です 私にとって都合がいいわけがありません 「やっぱり、那智は自分の力で奪いとらなきゃ意味がない。スポーツなんてルールのあるもの下で闘って他の奴に大切な那智を奪われるなんてなんか嫌だ。そこでだ。ルール無しの鬼ごっこをしようと思う」 「鬼ごっこ?」 「そうだ。那智が逃げて俺達が捕まえる。捕まえた奴が那智を自由に出来る。逃げる範囲はこの島全域。敵に何をしようが構わない。簡単だろ?」 「期限は?」 「日暮れまで」 「わかった」 「いいよ」 「……一つ、聞きたいんだけど」 「何?那智」 「私が逃げ切れたらどうなるの?」 「ここにいる間、皆でお前の言うことを聞いてやる」 「わかった…いいよ」 そうして、私の楽しい休暇をかけた鬼ごっこは三人の野望と共に始まったのです
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