殺人鬼と月光

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リモコンの電源ボタンを押し、ソファーに寝転がりながらもテレビを点けた。 適当にチャンネルをいじりつつ、流れゆく画面を眺める。 ニュースの音声だけが鳴る、静かで寂しげな家。 いつもこうなのだ。 一人でいるのが好きな早紀は、淋しくはないのだが。 「……腹減ったな。 何か、つくるか」 1人虚しく呟き、ゆっくりとだるそうに起き上がった。 台所へと足を運び、取り敢えず「キャベツ」と「包丁」を取り出す。 面倒な時は、いつもこれに決まっているのだ。 適当に水に浸けたキャベツを包丁を振り回し、適当に切り刻む。 食べやすい大きさになったら、冷凍ご飯と皿に乗せ、レンジでチン。 「お、マズそうだ」 せめて次は納豆にしようか……と自分でも考えつつ、多分次も納豆は買い忘れるのだろう。 苦し紛れに塩こしょう、マヨネーズでもふりかけ、ほら完成。 箸を取り出し、余計に不味そうになったキャベツご飯をそのまま手で持ち、食べ始める。 ここからテレビも見えるし、戻るのが面倒なのだ。 水道水をコップに注ぎ、一気に飲み干す。
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