殺人鬼と月光

5/21
前へ
/193ページ
次へ
「……ん?」 キャベツご飯を咀嚼し、テレビを眺めていると、ふととあるニュースが目に入った。 裏道の、殺人事件。 「ひでぇな、女を――ん、俺がやったやつか」 なんと、テレビに映っているのは昨夜殺しをした場所だった。 警官やらが捜査をし、立ち入り禁止になっている様子が映される。 画面の左上には「連続殺人事件」の赤い文字が並んでいた。 「あー……最近、殺しすぎたか。 全部首だけ斬ったからな……同じ事件として扱われちまう」 動きにくくなりそうだ。 ガシャン、と皿をシンクに置き、適当に水に浸けておく。 洗うのは、夜にまとめてやってしまおう、と。 「……独り言だな」 一人虚しく呟こうとして、ハッと気づく。 どこからか、視線を感じる。 ただの視線ではない。 これは―― ――殺気! 早紀はとっさに台所の壁に身を伏せ、隠れた。 するとそこに、おもりのついた鎖がぶち当たり、衝撃が伝わる。 ガシャァン! と窓ガラスの割れる音がし、そして複数の足音。 早紀は思わず、にやついてしまう。 「いきなり殺し合いか……!」
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

166人が本棚に入れています
本棚に追加