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私は中身   私は箱に守られている   箱は包装紙に守られている   包装紙と箱に守られた私は   大きな家の隅っこで埃に被ってる   ある日包装紙が破かれてしまった   箱は中身に言った   「私だけでは貴方を守れません」   中身は箱に返した   「家の外はきっと安全だよ」   箱は中身とともに家を出ようとした   家の人達が出て行こうとする箱に言った   「出ていくのは構わないが、出ていくなら お前が壊れた時、中身は天涯孤独になる」   箱は泣いた   泣いたせいでふにゃふにゃになった   もう箱は自分の形を保っていられなかった   箱は泣きながら中身に言った   「一緒に壊れてくれますか?」   中身はすぐに答えた   『いいよ、一緒に死のう』
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